山口棟梁に出会う

家を建てるなら、自然と近く暮らせる昔ながらの民家が良いなと考えた。風通しが良くて開放的。理想を言えば、土間と縁側があって、畳敷きの続き間。地元の木と自然の素材を使って大工さんに建ててもらう。

 

そんなイメージを持って情報収集していたら、「伝統構法」という建て方に行き着いた。

基礎は石の上に柱を乗せるだけの石場立て。無垢材の柱や梁を仕口と継手でつなぎ、接合金具や筋交いは使わない。構造部材が現しとなる真壁づくり。昔ながらの大工の技で建てる家だ。

 

伝統構法で建ててくれる工務店が埼玉県内にないかと探してみたら、幸築舍(山口喜徳棟梁)のホームページを発見。読んでみると、伝統構法の解説とともに、仕事に対する棟梁の考えがびっしりと書き込まれている。どうやら誠実に仕事をしてくれる職人気質の大工のようだ。早速電話で問い合わせたところ、運良く、竣工したばかりの現場を見学できることに。

 

数日後、我らが向かったのは埼玉県ときがわ町、とある山間の小集落にある民家。我らの新居予定地から車で30分ほどのところだ。山口棟梁に案内されて、伝統構法の住宅をひとしきり見学。がっしりした柱と梁で組まれた構造。無垢材による床板や造作。漆喰で塗られた壁。縁側と続き間。足元は風通しの良い石場立て。ああこれだと思いましたね。

 

棟梁に会って話してみると、思ったとおり職人気質で誠実な人柄。ひとりで仕事をしているので、手掛けるのは一軒ずつ。大工仕事以外の左官や設備等の工事は、施主による分離発注になるらしい。しかも数年掛けてじっくり建てるとのこと。うわー。なんだかすごいぞ。これは運命的な出会いだと直感。

 

帰りの車の中で二人で相談。いろいろ難しそうだけど、我ららしい家づくりになりそうだということで、山口棟梁に我が家をお願いすることに決定。じっくり取り組めそうだぞ。

 

     幸築舍のホームページ http://www5f.biglobe.ne.jp/~kouchiku/